2016年10月17日月曜日

米国財務省為替報告書 2016年10月公表分の直訳


米国財務省為替報告書 2016年10月公表分の直訳

  1. 米国財務省為替報告書 2016年10月公表分本文へのリンク:
    https://www.treasury.gov/resource-center/international/exchange-rate-policies/Documents/2016-10-14%20(Fall%202016%20FX%20Report)%20FINAL.PDF
  2. ※はアセット・マネジメント・コンサルティング株式会社による注釈。
  3. 日本に関するパートのみ。
  4. 前回までの米国財務省為替報告書:
    http://am-consulting.co.jp/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E8%B2%A1%E5%8B%99%E7%9C%81%E7%82%BA%E6%9B%BF%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8/

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  1. 2016年4月の報告書で記した通り、米国財務省は3つのクライテリアの分析に基づき注意を要する主要貿易パートナーの監視リストを作成している。
  2. 具体的には3つのクライテリアのうち2つを満たした国(※為替報告書中ではeconomy)を監視リストに加えている。
  3. クライテリアに対する何らかのパフォーマンス改善が永続的であり、一時的、一回限りの要因でないことを確かなものとする一助として、1度リストに加えるとその国は少なくとも2回連続して報告書中の監視リストに記される。
  4. 今回の為替報告書の監視リストは米国の6つの主要貿易パートナーである中国、日本、韓国、台湾、ドイツそしてスイスからなる(※今回新たにスイスが仲間入りしました)。
  5. 2016年4月の報告書で中国は3つのクライテリアのうち2つ-対米国との巨額な二国間貿易黒字とGDPの3パーセントを超える経常収支黒字-を満たしており、今回の報告書で3つのクライテリアのうち1つ-対米国との巨額な二国間貿易黒字-を満たしている。
  6. 日本、韓国そしてドイツは2016年4月そして2016年10月の両報告書で3つのクライテリアのうち2つ-重大な経常収支黒字と対米国との大幅な二国間貿易黒字-を満たしている。
  7. 台湾もまた2016年4月と10月の両報告書で3つのクライテリアのうち2つ-重大な経常収支黒字と外国為替市場における持続的で一方向の介入-を満たしている。
  8. 2016年6月時点の対米国との貿易は主要貿易パートナーに加えられるに充分大きいとしてスイスは今回の報告書からリストに加えられた。
  9. スイスは今回の報告書で3つのクライテリアのうち2つ-重大な経常収支黒字と外国為替市場における持続的で一方向の介入-を満たしている。

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  1. 監視リストの6つの国(※為替報告書中ではeconomies)に関して:(※日本に関するパートのみ)
  2. 日本は対米国との大幅な二国間貿易黒字を記録しており、そして2016年6月迄の直近4四半期の経常収支黒字は2011年以降の最高レベルとなるおよそ3.7パーセントに達した。
  3. 日本はおよそ5年間外国為替市場に介入していないが、2016年の日本円の上方圧力は再びの円高に狙いを定めた日本当局による持続的なパブリックコメントを伴ってきた。
  4. 米国財務省はドル円為替市場は順調に機能していると評価しており、そして為替レート政策に関するG-20およびG-7コミットメントを全ての国々が順守することの重要性を改めて表明する。
  5. 柔軟な財政政策と大胆な構造改革の課題を含む短期の成長とインフレ率を押し上げ、中期の経済見通しを向上するための全ての政策手段を当局が取ることが日本にとって重要であり続ける。

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日本
  1. 安倍首相はアベノミクスとして知られる彼の経済再生計画を遂行し続けており、最近の声明は財政政策的措置に焦点を置いている。
  2. 5月には首相は2017年に予定されていた消費税増税の延期を決定し、8月にはGDPのおよそ6%に当たる安倍政権での最大の経済対策-直接歳出(※new spending、いわゆる”真水”部分)は総額の25%程度であるが-を発表した。
  3. 金融政策として日本銀行は2016年1月に超過準備額の一部にマイナス金利を導入して市場を驚かせた。
  4. 9月に日本銀行はターゲットをマネタリーベース拡大から”イールドカーブコントロール”又は短期金利と長期利回りへと-インフレ期待をよりサポートするためのインフレ率オーバーシュートコミットメントと併せて-政策の焦点を根本的に変更した。
  5. アナリストはこの体制変更を日本銀行にその金融政策遂行に-必要であるならばマイナス金利深掘りの余地を与える事を含む-大きな柔軟性を与えるものとして解釈した。
  6. 構造改革は例えばコーポレートガバナンスの様に限定した分野では進展が見られるが、TPPの国会批准と労働市場とサービス分野における困難な改革を成立させる安倍首相の手腕は依然として重要である。
  7. 日本の経常収支は2016年の上半期に拡大を続けており、GDPの3.8パーセントに当たる860億ドルの黒字に達した(2015年の上半期はGDPの3.0パーセントに当たる630億ドル)。
  8. 2016年6月までの12ヶ月で経常収支黒字はGDPの3.7%を記録し、2015年6月までの12ヶ月の2.4%から大幅の増加となり2011年以降、最高の12ヶ月の黒字となった。
  9. 経常収支拡大は強い純海外利益と同様に次に記す貿易収支の改善に起因する
    1. 6年ぶりの貿易収支黒字(※財の貿易収支黒字、goods surplus)。
    2. 輸入代金を削減する石油価格の低下。
    3. 中国からの旅行客増加に支えられたサービス収支赤字の低下。
  10. 日本の季節調整済み貿易収支(財とサービス、goods and services)は2015年後半に黒字(※輸出超)に転換し、輸入が縮小するなか2016年にも拡大を続け、8月には2010年以来の最高レベルにまで上昇した(※但し本文中『in 2016 on contracting imports, , climbing in August to the largest level since 2010』)。
  11. 輸出量は2015年上半期と比較すると2016年上半期は2.3%落ち込んだ。
  12. 2016年6月までの12ヶ月において、日本の対米国との財の貿易黒字(merchandise trade surplus)は676億ドルとなった(2015年6月までの12ヶ月は690億ドル)。
  13. サービスを含み、同期間の日本の対米国との全体の貿易黒字(財とサービスの合計、季節調整済み)は552億ドルとなった。
  14. 年初来、9月末時点で日本円はドルに対して18.7%円高に振れており、実質実効為替レートは8月末時点で18.0%円高に振れている。
  15. 円高は1年間を通して以下に起因して強まっている。
    1. 世界のリスク資産からの撤退における日本円の避難場所としての魅力。
    2. 米国における予想よりも緩慢な政策金利上昇サイクルが結果として日本と米国の金利差を狭めている。
  16. 加えて1月の日本銀行のマイナス金利政策導入の決定は日本銀行は2%のインフレターゲットを達成するための手段を使い果たしたとの懸念を非伝統的政策が引き起こしたとの市場の思惑を導いた。
  17. およそ5年間日本は為替市場に介入していないが、2016年には円高を抑制するために当局はドル円の動向を”荒い”として見なし、必要とあれば”断固とした手段を取る”と警告するパブリックコメントを持続的に発している。
  18. 米国財務省はドル円為替市場は順調に機能していると評価しており、そして為替レート政策に関するG-20およびG-7コミットメントを全ての国々が順守することの重要性を改めて表明する。
  19. G-7およびG-20を背景として、日本は全ての政策手段-金融、財政、構造-は信頼を醸成し回復を強化するため遂行することに関与しており、そして金融政策のみではバランスの取れた成長を成し遂げられないことを認めている。
  20. 2015年、IMFは日本円の実質実効為替レートをファンダメンタルと一致したレベルよりもやや弱いと評価したが、2016年年央でIMFは日本円が 中期的ファンダメンタルと一致したレベルへ向かっていると評価している。
  21. 日本の弱い成長見通しと世界の需要の継続的な弱さを前提として、緊縮的な財政指標の変化を回避するための短期における柔軟な財政政策を含む全ての政策手段を当局が遂行することの重要性が高まっている。
  22. 8月に公表された日本の財政計画は-特に労働参加率の改善方策と低所得者への直接給付は-このことと矛盾がないと考えられる。
  23. 長期的な便益(例えば強い研究開発インフラ)を考慮した改革を求め続けながら短期の成長(例えば賃上げや地方経済を活性化する政策)を優先する構造改革と併せて金融及び財政サポートもまた当局は補完しなければならない。
  24. 日本の国会によるTPPの批准は農業や自動車の様な保護された分野における多くの必要な改革に向かった重要な最初の一歩となるであろう。